ヨコミネ式教育ってスパルタなの?!

2021.04.04
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ヨコミネ式教育ってスパルタなの?!

数年前、連日のようにメディアで取り上げられたヨコミネ式教育法。TVでは年長の男の子が逆立ちで歩いていたり、高速のフラッシュカードが活動に取り入れられていたり。更には掛け算や英語劇まで披露されていました。それを見た幼児教育者も親も賛否両論で教育界を賑わしていましたね。 「うちの子もこんなに出来ると嬉しい!」や「これほど幼児期に詰め込んでどうするんだ!スパルタ教育じゃないか!」という声が私の周りでも巻き起こっていました。 今回はこの教育法について考察していきたいと思います。

ヨコミネ式幼児教育法の理念

「すべての子どもは天才である」という考えの基、横峯吉文氏によって考案された教育法です。心の力・学ぶ力・体の力に注目してカリキュラムや活動を展開しています。

心の力

・自分の課題や起こったトラブルに対して諦めずに取り組んでいく気持ち。他者との支え合いを通して思いやりの心を育む力

体の力

・運動能力は6歳までに大きく発達すると言われており、様々な動きや操作を獲得していく事で健康的でバランスのいい体づくり

学ぶ力

・学習の基礎である、読み・書き・計算を繰り返し学習し、学びの基礎を育む

これは多くの幼児教育施設では大切にしている事であり、保育所保育指針や幼稚園教育要領といった幼児教育者の教科書にも同じニュアンスの文面が記載されています。ただ、この力を具体的にどうやって会得していくか。どこまで追及していくかがその園の特色や方針になるわけです。

ヨコミネ式幼児教育法で会得出来る事

  • ・ひらがな・カタカナの拾い読みが出来る
  • ・日記を書く
  • 1000冊を超える本を読む
  • ・掛け算をマスターする
  • ・絶対音感を身に付ける
  • ・跳び箱11段をクリアする
  • ・楽器の演奏が出来るようになる
  • ・逆立ち歩きが出来るようになる
  • ・英語で劇をする

以上が特徴的な獲得する内容です。

皆さんはこれを見てどう思いますか?「やっぱりスパルタだ」と思うのか「こんなにできる様になれば子どもも嬉しいはずだ」と思うのか。筆者はこう考えました。「合う子には合う。合わない子には苦痛でしかない。」これは現場で子どもを沢山見て来て思ったことです。

出来た事を喜びとして自信につなげていく事は子どもの可能性や意欲を更なる高みへと引き上げるベースになります。

しかし、子どもにも育った環境や性格があるわけで、高い壁に心がくじけてしまい、周りが出来ていく様子を見て「自分は出来ない子なんだ」と感じてしまうと、苦労して乗り越えた壁に対しても「二度とやりたくない」と考えてしまうようになります。

つまり、自分でレッテルを貼ってしまうのです。これは本当に悲しい状態です。しかし、この課題やステップを楽しんで習得できるとなると、相当な自信と能力を持った子どもに育っていくでしょう。

ヨコミネ式幼児教育法の子どもと関わる際の4つのキーワード

子どもは競争したがる

・負けたくない、上手くやりたいという純粋な気持ちを持続させるために子ども同士の競い合いを意識します。

☆保育者のフォローや言葉掛けなど、関わり方が重要になるでしょう

子どもは真似したがる

・あの子に様にやってみたい、自分にもできそうだ。など子ども同士で競い合う場面から育ち合の機会を作っていきます。

子どもはちょっとだけ難しい事をしたがる

・難し過ぎる事に挑戦しても意欲が沸きませんし、簡単なことを続けていると飽きてしまいます。子どもの状態やつまずきをよく観察して、現段階よりもほんの少し難しい課題を提供します。

☆タイミングが重要なので、保育者の観察力や子ども理解が高くないと難しそうです

子どもは認められたがる

・ただ褒めるだけではなく出来る事や、出来るように取り組んできた過程を認めていく事で達成感が生まれ学習意欲を高めていきます。

保育者がこれらの認識と能力を上げておかないと、ただの詰込みになったりスパルタになってしまうなどの危険性があります。子ども自身の能力を自ら信じて取り組む為には保育者の些細な言葉掛けや提供するタイミングが重要なので、保育士への研修や指導・独自の育成カリキュラムが必要になるでしょう。

まとめ

思想や理念に関しては、幼児教育の筋から逸脱するものではなく、多くの園が掲げているものであり、保育所保育指針や幼稚園教育要領に準じた内容になっています。

それを具体的に会得するレベルとしては驚きの面がありますが、子ども自身が楽しんで到達できるのであれば大きな自信と能力を手に入れる事が出来るでしょう。天才を生み出すのも、落ちこぼれを作り出すのも、保育者の手腕によるところが大きなキーポイントになるのではないでしょうか。