リトミック遊びが子どもにもたらす力
- 2021.04.04
- お役立ち情報
皆さんは「リトミック」という言葉を聞いたことがありますか?主に幼児教育の中で行われる教育手法の一つです。日本の幼児教育では広く親しまれており、現場でもこの遊びを取り入れている園は多数あります。「リトミック教室」なるものがあるほど、教育に深く根付きつつある手法ですが、天才を育てるための英才教育と捉える人も少なくないようなのです。リトミックを取り入れた先に天才と呼ばれる子どもが出てくることはあっても、本来のリトミックは英才教育ではなく、情操教育として行うものであるとされています。今回はそんなリトミックについて少し掘り下げてみましょう。
リトミックとは
19世紀~20世紀初頭にかけてスイスの音楽教育家であったエミール・ジャック・ダルクローズが開発した音楽教育の手法です。
リトミックのねらい
国語や美術、体育、音楽の教育は訓練や調教によって獲得していくものではなく子どもが自ら学び、その感覚を体感的に身に付けていくための情操教育や芸術教育が必要である叫としてドイツのハンブルグなどを中心に声が高まりました。そこでダルクローズは早期から闇雲に楽器に触らせるのではなく、音を聞きそれを感じ、理解して、その上で触ってみるなど、「演奏できる」という結果や技術ではなく、豊かな感性を育む事に焦点を当てる教育を施しました。
分かりやすく教えて!
以上は少し分かりにくい内容になってしまいましたが、要は
●音楽活動を通して、感じる力や表現する力、運動能力など総合的に力を引き延ばしていく教育
という事です。具体的にどのような活動があるのか、幼稚園や保育所などの幼児教育現場で取り入れられている具体例をお伝えします。
音楽を聴いて体を動かす!
これを聞くと「それってダンスでしょ?」と思われるかもしれません。ダンスとは模倣、または決まった振り付けを覚える事を指します。一方、リトミックはその音を感じたままに動いていくという事です。例をあげてみましょう。短調(マイナーコード)が沢山ある曲などは一般的に暗い雰囲気の曲になります。大人がそういった音を聞くと表現としては悲しい、辛いといった動きが多くなるのではないでしょうか?しかし、リトミックでは、「落ち着いた音」と捉えてもいいですし、もっと言えば、「なんて明るい曲なんだ」とノリノリで動いてもいいのです。つまり、その子の感性や感じ方を肯定し、それによって「自 分の感じたことは間違いではない」という自己肯定感を育みます。自己肯定感が高い子ど もは好奇心が強くなり、難しい事にも挑戦する意欲とエネルギーが出てきます。素晴らしい効果です。
生活に溢れた音を利用して感覚を養う
もちろん、本格的なリトミック教育では、様々なプログラムと教材を駆使してその子の能力を高めていく訳ですが、家庭でもリトミック教育を行う事が出来ます。身近なものと言えば
- ・手足でリズムを取る
- ・段ボールで箱を作り、手で叩いて音を鳴らす
- ・家庭にある様々な素材を叩いて音の違いを知る
などがありますね。これは実際に幼児教育の中でも取り入れられている音楽活動の始まりです。こうしたリズムや音の高低を意識する習慣をつける事で、音楽だけでなく、運動遊びにもつなげていく事が出来ます。運動ではリズム感が身についている子どもとそうでない子どもは必ず差が出ます。走る・投げる・飛ぶなどの粗大運動には自分の体をタイミングよく動かす事でスムーズな運びが出来るようになるのです。
まとめ
- ・リトミックは音楽を通した情操教育
- ・天才を育てるのではなく、自信を持てる子どもを育てる
- ・音楽は運動につながる。幼児期にこれらを連動させることで豊かな感性と豊かな運動経験をもつ事が出来る
- ・専門的に行う事も出来るが、生活の中で取り入れることが出来る