異年齢保育の難しさと利点

2021.04.04
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異年齢保育の難しさと利点

園児数が少ない事や、朝の時間、居残りの時間など異年齢保育が必要とされる場面は沢山あります。発達の違う子どもたちがどうやって同じ空間で活動しているのか、そして、それによる環境構成や関わりの難しさをお伝えしていきたいと思います。

異年齢保育とは

違う年齢の子どもたちが同じ空間、同じ時間を共有する事を指します。その場面や園によって変わってきますが、運動遊びやゲーム遊び、製作など主とする活動も同じように行う事も少なくありません。

異年齢保育の難しさ

経験の違い

何といっても、発達の違いです。例えば、4歳児の運動能力と5歳児の運動能力は差があるので、同じ跳び箱をするにしても高さの調節や経験させる内容が変わってきます。4歳児に合わせると「それはもう知ってるよ」と5歳児がつまらなくなって、関心が無くなってしまいます。5歳児に合わせても4歳児にはまだ経験出来ていない事なので難し過ぎて嫌になってしまいます。これは運動に限らず、生活の様々な場面でも言える事になります。

環境構成の難しさ

午睡の時間にしても5歳児は小学校に向けて午睡をしない、若しくは、短くするなどの取り組みをしている園は多くあるのではないでしょうか?そうすると保育士は必ず数名必要になりますが、園児数により一人で4、5歳児を担任している保育士さんもいます。その場合はどちらかの年齢に合わせるしか方法がないので、この発達の違いによる活動は生活の難しさはずっと付きまとう事になります。また、パーテーションや家具などで同じ部屋に仕切りを設ける園もあります。しかし、そうすると一人担任の場合、目が行き届かなくなってしまいます。また、遊具や教材は年齢や発達に応じたものが必要です。例えるならば、4歳児に手紙セットを構えても、5歳児がやっているほど上手く出来なので、最悪の場合、文字への苦手意識が根付いてしまいます。

保育士の労働力

指導案は年齢によって書き分けなければならないので、2倍の労力になってしまいます。いくら園児数が少ないとはいえ、相当な激務になるでしょう。

異年齢保育の利点

とはいえ、異年齢であるからこその大いなる利点もあります。日常的に互恵性のある場面や育ちが経験できる事です。異年齢保育がない園では多くの場合、異年齢交流として活動を組み込む事があります。それほどまでに集団生活において異年齢の関わりというものは情操教育の点で利点を生み出してくれるものなのです。下の年齢の子どもは、お兄ちゃん・お姉ちゃんの言動を真似したり反面教師にしたりして様々な能力を獲得できると共に年齢が上がる事への期待感や憧れを持つ事が出来ます。これが出来ると、自分もこんな風になりたいと具体的なイメージを持って生活することが出来ます。

逆に、上の年齢の子どもはお世話をしたり自分が影響を与えている事を見て・聞いて・感じ、有用感を育んでいきます。自分が誰かのために役に立つ、誰かから必要とされているという自覚を持たせます。責任感や思いやりも同時に育む事が出来るのです。日常的にこういった感覚を得る経験が出来る事は幼児期においてとても大きな財産になります。

適した異年齢保育

筆者の経験上、生活を共にするのであれば近い年齢で行う事がベストです。しかし交流としては5歳児であれば1歳児など年齢が離れた交流は非常に子どもの心を育ててくれます。保育士がしているように絵本を読んだり、園庭の3輪車に乗せて後ろから押してあげたり。とってもじょうずなお世話が出来ます。

まとめ

  • ・異年齢保育は比較的、園児数が少ない環境で行われる
  • ・年齢による発達の違いを揃えようとすることは非常に難しい
  • ・慢性的な人手不足になりがち
  • ・異年齢の関わりで得られるものは互恵性があり、大きな財産となる