極端に短い保育士の休憩時間

2021.04.04
お役立ち情報
極端に短い保育士の休憩時間

皆さんのお仕事には休憩がありますか?もちろんフルタイムです。長い職種だと1時間ほどあると聞きます。短くても30分はあるのではないでしょうか?あまり知られていないと思いますが、今回の記事では保育士の休憩時間に焦点を当ててお伝えしていきたいと思います。

昼食時に休憩を取れる?

一般的に休憩時間というと昼食の時間帯が多いのではないでしょうか?社外へ出て買う、飲食店で食事する、持参したお弁当を社外へ出て食べる又は、社内の指定場所で食べるなどして同時に食後にはコーヒーで一服、なんていう事も日常的にできるのではないでしょうか?何とも羨ましい話です。保育士の昼食は幼児であれば子どもと一緒に食べます。食べながら食事の楽しさやマナー、また食育につながる食材の栄養や調理の不思議さなども会話の中に意図的にちりばめています。また、乳児は食事の介助が必要になるので、保育士が昼食を一緒に摂る事は出来ません。食事も教育の場となります。これは休憩とは言えませんよね。

午睡が休憩時間?

保育園といえば、午睡がありますね。時間や年齢はその園によって様々であるとは思いますが、おおよそ、12:0015:00あたりに午睡をしている園が多いのではないでしょうか?「3時間もあれば十分すぎる休憩だ」と思われるかもしれませんが、午睡の時間には大量の事務作業が待っています。その内容は

指導案

・月案、週案、日案の作成

午前の活動で汚れた子どもの衣類の洗濯

連絡帳※多くの時間を費やします

お便り

季節の製作準備

保育室の備品や玩具の修繕、手入れ

乳児の保育士は昼食

等に時間を取られます。これは休憩と呼べるものでしょうか?もちろん、保育室から離れる事は出来ないので、複数担任は交代出来ますが、一人担任は保育室に缶詰の状態です。子どもがおねしょやトイレを訴えれば対応が必要になりますし、午睡が安全に出来ているかチェックして記録を残さなければなりません。

どこで休憩を取っているの?

以上から分かるように、保育士には休憩が存在しません。8時間労働は優に超えていく勤務時間になります。多岐に渡る業務内容に加えて休憩も取る事が出来ない勤務時間、更に大切な命を預かる仕事であるにも関わらず、平均年収は他職種に比べて低い上に、キャリアを重ねにくいという事実。これでは保育士を続けていこうとは思わないですよね。

それぞれの工夫

働き方改革が通達されたことで、保育士の業務を見直す園も出ているようです。

  • ・有給休暇の取得の徹底
  • ・時間外労働の上限
  • ・パソコンやAIなど様々なツールを活用して事務作業を行う

などがあげられます。実際に筆者の保育園でも、2021年度からは「連続した5日間の休暇を取得する」事が義務付けられました。また、労働時間を調整するためにシフトの中から極端に短い勤務を作り出しました。そういった企業努力が少しずつ広がっている事は事実としてあります。しかし、保育士は慢性的な人材不足に陥っています。そのせいでどうしても時間外労働を余儀なくされたり、新たなツールを導入する資金がないという園も多数あります。

筆者が思う保育士の改革

筆者が思うに、この慢性的な保育士不足は社会のイメージが非常に大きいものであると思います。確かに、待遇の面を見ると、この仕事を続けていくには公立保育園で公務員として採用されなければ、民間や私立で続けていく事が難しくなります。

子どもと関わる、生活を守る仕事は本来尊いものであるはずが、労働時間や低賃金などの待遇が悪い事という事実が先行して世間のイメージになってしまっています。これを大きく変えるには、まず、多額の税金を投入する事です。そして、公立・私立・民間関係なく同年代の平均年収の少し上をいくような給与にすることです。そうすることで少しでも保育士を目指す人が増えるはずです。そうすれば人材不足が解消され、勤務時間や業務を分担することが出来るようになります。

まとめ

  • ・保育士には休憩が存在しない事が多数ある
  • ・午睡の時間は事務作業などを行う時間に充てる
  • ・午睡の時間も子どものそばを離れる事ができない
  • ・労働時間が8時間を超えがち
  • ・AIやパソコンを導入して事務作業を軽減する工夫がなされている園もある