保育士の持ち帰り仕事の実態

2021.04.04
お役立ち情報
保育士の持ち帰り仕事の実態

保育士の業務内容は多岐に渡ります。園内や園庭の設備修繕・管理。食育に関する畑を耕したり、プランター内の土を運搬。時には屋根まで上がってアンテナの確認をしたり向きを変えたり。それに加えて子ども・保護者対応。電話対応。指導案の作成。園内研修や各種研修レポート。連絡帳。などなど一日のうちで息が付く暇もないほどの多忙を極めます。「保育士は持ち帰りの仕事が多い」とよく取り上げられますがその実態をお伝えしたいと思います。

何故持ち帰りになるのか

冒頭で申し上げた通り、保育士は一人でたくさんの業務を抱えています。保育園・幼稚園で働いた経験がある筆者がなぜそのような事になるのか、実際の時系列を書いていきます。

幼稚園

筆者が勤めていた幼稚園は夕方の預かりは19:00まででした。

14:00降園 ここで3つのパターンに分かれます

(1)園に保護者がお迎えに来る

(2)通園バスで停留所まで送迎する

(3)預かり保育で園内に残る

ここですでに教諭は時間を取られます。バスに乗れば1時間半は帰ってきません。園でのお迎えになると保護者に子どもの様子を伝えなければいけないので、小一時間はかかります。

預かり保育の担当になると他の仕事は全くできません。この3つを交代制で回していました。

15:30指導案の作成 その日の保育内容や教育内容が本当に適切に行われたのか、子どもたちのどういった部分を刺激し、成長を促すことが出来たのかという考察をしながら明日の保育に向けての課題や活動を組み立て直していきます。

16:20学年会 各年齢の主となる教諭が集まり、今後の活動や子どもの課題、新人教諭への指導方法などを議論します。ほかにも、園長や設置者(理事長)から指摘や指導を受けるなどもあり、これを毎日行っていました。

17:30 明日の保育や行事に向けての準備

ここが一番時間を要します。行事によっては車で園外に出かけて先方との打ち合わせに行ったり、現地の様子を確認して危険な場所や休憩場所、トイレはどこにあるのかなどを視察します。園内で済むときも教材室にこもって明日の保育に一番適した教材を吟味するなどもしていました。

この時点ですでに17:45の定時が過ぎているわけです。当時はタイムカードシステムだったので、監査が入ると指導されることから、早く帰りなさいと言われていました。上記の時間は何事もなくすんなり業務に移れた場合です。そこへ園舎の清掃の当番が回ってきたり、夏になるとプールの掃除があったり、壊れたフェンスの修繕をしたりなどの雑務が入ってくるとすべてが後へ後へこけていく事になります。

でも、まだ事務作業をする時間は何とか見つけることが出来ていました。

保育園

こっちはさらに悲惨です。通常の預かる時間が16:00までですが共働き家庭が9割なのでまず16:00に帰る子どもはいません。ほとんどが17:3018:00に集中します。ですので、その時間はもちろん勤務に入っている保育士全員が子どもと一緒に過ごしているので、事務作業や製作作業をする時間などありません。

お昼寝の時間はありますが、その多くの時間は連絡帳に費やされます。それが終わった後で、指導案を書いたり、職員会をしたり、雑務をすることになります。乳児は呼吸と就寝体位のチェックが義務付けられているので、それにも対応していかないといけません。

結局、雑務は勤務時間外で行う事になってしまうのです。園内で出来る事を優先していくと製作物・壁面などは家に持ち帰る事になってしまいます。

まとめ

作業効率が悪いと言われてしまえばそれまでかもしれませんが、大人数の子どもを預かった状態で自分の作業を進める事は想像以上に困難です。子どもは思わぬ動きをするなどハプニングに満ちているので、いつでも対応できる様にしておかないといけないからです。

そういった背景もあり、仕事を持ち帰ってこなしていく保育士さんは多数おります。家庭を持っていると「これは続けることが出来ない」と保育士を諦めてしまう人もいるほどですから。

もちろん、その園によるので全く持ち帰りがないように就業時間内で業務を完結できるシステムになっている園もあります。しかし、保育士を選ぶ以上は多少の仕事の持ち帰りは覚悟しておいた方が良いかと思います。