面談や家庭訪問、保護者との個別対応で気を付けるべき事

2021.04.04
お役立ち情報
面談や家庭訪問、保護者との個別対応で気を付けるべき事

園によって様々ですが、個人面談や家庭訪問を行っている園もあります。「園でやらなければいけないからやっている」と考えてしまい、その時期になると憂鬱になる保育士もいると聞きます。私は幼稚園教諭として家庭訪問もしましたし、保育士として個人面談も行いました。そういった経験から気を付けるべき事や実施する必要性をお伝えしていきたいと思います。

保護者との個別の関わりはピンチにもチャンスにもなる

保護者と一対一で関わるのは本当に緊張しますよね。自分が間違った事を言っていないか、知らず知らずのうちに失礼な態度を取っていないか、保護者の疑問にきちんと答えられるか。色々なことをネガティブに考えてしまいますが、そういった思考になるとピンチにしかなりません。

個別の関わりで大切なのは、保護者の考えや生活背景をどれほど引き出していけるかなのです。自分がどう思われているか心配しながら関わるのではなく、子どもの事をもっと知りたい、そのために色んなことを教えて下さい。という心持ちで臨むといい結果が生まれる事が多くあります。そういった子どもに対しての真摯な心は保護者の好感を得ますし、子どものことを真剣に考えてくれる信頼できる保育士いう印象を与えるでしょう。では、具体的に実践例を挙げながらお伝えしましょう。

■家庭訪問にて

私が幼稚園教諭として家庭訪問に伺ったのは現場経験2年目の時です。何と年長組でした。現場経験がある方はそれがどれほど恐ろしい事かわかるはずです。先輩保育士に家庭訪問での所作や気を付ける事は教えてもらったものの、保護者の考えや悩みは十人十色。それに対して的確に答えることなど2年目で出来るはずがありません。思い返すと、保護者の問いにあたふたしてしまって、不信感を持たれてしまったように思います。

ただ、自分で言うのもなんですが、保護者さんからは可愛がってもらっていました。というのも、私は家庭訪問の際に「私は現場経験もまだ少なく、子どももおりません。それでも大切なお子様をお預かりする以上、最大限の責任を持ってお預かりします。その大切なお子様の情報を一つでも多く頂き、関わりのヒントにさせて頂きたいです。私が間違っている時にはご指摘して頂ければと思います。」という旨を全員に頭を下げながらお伝えしました。そういった姿勢が受け入れられたように思います。

細かなアドバイス

(1)お茶菓子を頂く・頂かないは統一しよう

あるご家庭でお茶菓子を頂き、次の家庭でお茶菓子を出されて「ありがとうございます。お気持ちだけ頂きます」などと言ってしまえば、保護者の連絡網から、「○○さんのお宅のお茶菓子は食べたのに、うちのは食べなかった」という話が尾ひれを付けて回っていく可能性が非常に高いです。頂くのであれば例外なく出されたものは完食。頂かないのであれば丁重にお断りして統一しましょう。

(2)靴の消臭剤は持ち歩く

  ご家庭に上がる事がほとんどであると思いますので、足の匂いには気を付けましょう。1件目が終わった時に公衆トイレなど、人目につかないところで足の匂いをリセットするものエチケットです。

(3)想像で勝手なことは言わない

  その場しのぎで、適当な事を言ってしまうと後で大事になります。分からない事は正直に申し上げて、すぐに答えが必要な場合は、席を外させてもらって、園に問い合わせましょう。

■個人面談にて

私が勤めている保育園では、面談や家庭訪問の取り組みがずっとなされていませんでした。幼稚園での経験から、保護者とじっくり関わる事の大切さを痛感していた私は園長に掛け合い、自分のクラスだけもと面談を取り入れました。ある程度の経験があったので、面談でも保護者とスムーズにコミュニケーションが取れました。面談で特に多かった、思い出深い事例を紹介します。

■涙を流す母親

これは毎年1名~3名はいます。子どもの発達や自分の置かれている状況を話し出す際に感極まって涙を流すお母さんもいらっしゃいます。もちろん、そこにいくまでにはお母さんの持つ悩みを少しづつ引き出していきます。

一見、円満そうな家庭でも、お母さんだけが深く悩んでいたり、周りに頼る人もおらずに孤独感を持って子育てしている家庭も多くあります。普段の送り迎えでは話せない悩みを一対一という状況が引き出してくれるのです。

■発達障害についての悩み

これも非常に増えてきました。ある程度勉強していたり、調べている親は「自閉症ではないか?ADHDではないか?」と問いかけてくることがあります。その時必ず私がお伝えするのは、我々保育士は医者ではないので、診断は出来ない。しかし、本人が生きづらさを感じているようならば受診も視野に入れていいと思う。という事です。

自閉症と言っても、その特性や状態はその子によって違います。安易に発達障害ではない!と断言したり受診した方が良い!という言葉は保護者への不信感を強めてしまいます。

細かなアドバイス

(1)口臭や体臭には気を付けよう

  きつい匂いは話す意欲を低下させます。面談が始まる前に確認しておきましょう。

(2)目を見過ぎない事もマナー

面談に限った事ではないですが、一対一という状況は緊張感を持たせます。そんな中で、じっと目を見られるとしゃべりにくいものです。しっかり目線は合して、時折ノートなどを見て視線を外す事もエチケットです。

(3)専用のノートに記録していく

個人面談用のノートを構え、記録をしていきながら行いましょう。後で振り返る際に大きなヒントになっていることも多くあります。

まとめ

  • 〇保護者との個別対応は真摯な姿勢で、ポジティブに
  • 〇わからない事は正直に伝えて、後日回答しよう
  • 〇お宅に伺う際はエチケットを
  • 〇お茶菓子を頂くかは統一することが必要
  • 〇保育士は医師ではないので、発達障害を断定するような事は言わない
  • 〇自分がどうみられるかよりも、子どもの情報を一つでも多く聞き出す事に集中しよう