主任保育士になるためのスキルと仕事内容

2021.04.02
保育園について
主任保育士になるためのスキルと仕事内容

保育士であれば、誰もが一度は憧れるポジション。主任保育士。現場と園のトップを繋ぐ役割を果たしながらも保育士に欠員があれば対応してくれる、現場のスターといった印象です。 それに関して、どのような経歴やスキルが必要か。そしてその多岐に渡る仕事にはどのようなものがあるのかをお伝えしていきたいと思います。

主任保育士にはどのようなスキルや資格が必要か?

実は、主任保育士にこれが必要!という資格はありません。園によって社内の試験があるところもあるようですが、法律上は必要ないのです。園長や役員から『あなたは明日から主任です。』と言われてそのポジションになっても法律上は問題なしです。

しかし、資格が必要なくても求められるスキルはあります。

  • ・主任保育士は基本的にクラスを受け持たない
  • ・担任を任せられても問題ない保育力がある
  • ・指導案などの書類に関して、自分だけでなく他者の添削ができる
  • ・途中で業務を投げ出さない責任感がある
  • ・保護者とのコミュニケーションが問題なく取れる
  • ・園の周辺施設や環境について熟知している
  • ・聞く事・伝える事に比較的長けている

など。上げればきりがないですが、とにかく【保護者・園・保育士から頼られる人材でなければならない】という事です。

保育に困ったとき・保護者への説明に困った時・園外活動へ出かけたいが迷っている時に相談した主任が『分からない。自分でやって。』という返答であればその園は危機的状況です。恐らく園長や役員との連携も取れていないのではないでしょうか。上記のような力を身に付けるには、やはり現場で必要なスキルを培っておかないといけません。理論だけでも、実践力だけでもいけないのです。両方バランスよく身に付けることが重要です。

主任保育士は給料が上がる!?

現在、保育士に対する国からの補助金として、【処遇改善等加算Ⅱ】というものが支給されています。ご存知の方もいらっしゃるかとは思いますが、この処遇改善は、保育士・分野別リーダー・専門リーダー・副主任保育士に対して、そのステージごとに上限が定められた金額を支給するものです。

お気づきの通り、主任保育士はこの処遇改善に含まれていないのです。なぜかというと、主任保育士はもともと手当てを貰っている場合がほとんどであるから、なのです。現在施行されている処遇改善の前身は、【園の従業員(保育士以外を含む)】に対して支給されているものでした。

しかし、その比率は園長・主任に手当てを多く加算されていた傾向があります。保育士に手当てが行き届かなかったことを受けて、明確な役職を定めて保育士への給付を行ったものが現在の処遇改善です。

主任保育士への手当ては園によって違います。数千円という園もあれば、数万円つく場合もあるので、それは園に確認して頂かないといけません。ただ、現場の声としては、『その金額では割に合わない…手当はいらないから保育士に戻って担任をしたい。』という方もいらっしゃいます。

時には現場の代表者として・時には役員や園長などトップの代弁者として・時には事務員になって書類の作成や添削をして・時には園長の代理として責任を持たされて、更に主任以下の保育士の状況や性格の把握もしておかないといけません。本当に多岐に渡る業務内容です。

それを緩和させるには、それぞれの役職の保育士に少しずつ仕事を分担させることが大切でしょう。無理にすべてを請け負うと、オーバーヒートしてしまいます。

主任保育士は保育のスペシャリスト?!

主任というと保育の申し子のように完璧な保育をする方を想像されるかと思いますが、必ずしもそうとは限りません。

もちろん、スキルが高ければそれに越したことはありません。

しかし、それよりも人格者であることの方が私の経験上大切な条件になると思います。確かに、私が指導して頂いた主任保育士は保育のスキルはありました。

しかし、他にも同年代でスキルの高い保育士はいたのです、ではなぜその方が主任として抜擢されたか。それは、視野の広さを持っているからです。同僚の話をよく聞いたり、園長の気持ちを自分の言葉として現場に下ろしたり。自分の事だけでなく、周りの人間の気持ちや心をくみ取る事が出来る方なので抜擢されたのです。

園長のご機嫌を伺うだけの主任では、現場から不満が上がり、保育士が辞めてしまいます。実際にそのケースは沢山あります。現場の事ばかり園長に要求していては、園長の存在を卑下してしまう事に繋がります。

ですので、主任保育士は保育のスペシャリストであるよりも、人の心を受け入れ、理解し、伝えることができるスペシャリストにならなければ務まりません。 

まとめ

  • ・主任保育士に必要な資格はない
  • ・園にはよるが、ほぼ、主任手当てが付く(数千円~数万円)
  • ・保育だけのスキルでは務まらない
  • ・保育以外の業務が多くなる
  • ・現場とトップの潤滑油にならないと全体が機能しなくなる

その役職になるには、様々な課題があるものの、多方面から頼られるという存在はやりがいがあるものです。その姿を見て、若手は育っていきます。もしあなたが主任保育士を目指しているならば、【自分が人として成長しているか。みんなの事を見ているか。】を突き詰める事が評価とスキルを上げていく近道になりそうです。