保育士の役職にはどんなものがある?

2021.03.27
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保育士の役職にはどんなものがある?

【保育士】と聞いてあまり役職のイメージがない方も多数いらっしゃるのではないでしょうか?他の職種でいえば、課長、部長、係長、室長、補佐などの役職があったり、スキルや身に付けた技能によって階級などがあったりしますね。責任に伴い、給与にも反映されます。では、保育士の役職や手当にはどのようなものがあるのか、お伝えしていきます。

■昔と今では大きく違っている

昔と言ってもつい最近までですが、「処遇改善等加算Ⅱ」というものが施行されるまでは、ほとんどの園が園長、主任のみの役職でした。その他はどれほど保育のスキルがあろうが、どれほど業務を抱えていようが、一律に【保育士】とされ同等の待遇でした。

国・県・自治体が運営する公立保育園であれば長い間勤めていけば、園長のポストへの可能性もありますが、民間や私立の保育園は家族経営が多く存在し、園長は世襲性のようになっているので、一従業員が園長のポストに就く事はまずないと考えていいでしょう。

となると、残る役職は主任のみ。園長の補佐として信頼され、保育士の代弁者として園と掛け合ってくれる、憧れのポジションですが、そこにいくまでには十数年の歳月が必要でそれまでの苦しい事や辛い事に耐え抜いたものだけが勝ち取れるたった一つの椅子なのです。また、明確な基準がないので、園長などの上司や設置者の印象で決まる事が多くあります。

それが大きく変わりました。上記にある、「処遇改善等加算Ⅱ」によってです。これがどういったものであるのかを説明いたします。

■処遇改善等加算Ⅱ

現在、保育士は以下のような役職が設けられています。

園長・主任・副主任・専門リーダー・分野別リーダーの5つです。太字になっているものが新たに役職として設置されているもので、その役職に就く事が出来る基準も設けられています。

副主任…定められた研修(キャリアアップ研修)8項目のうち、マネジメントを含む4つ以上を履修

およそ7年以上の現場経験(複数園でも可能)

専門リーダー…定められた研修(キャリアアップ研修)8項目のうち、4つ以上を履修

およそ7年以上の現場経験(複数園でも可能)

分野別リーダーを経験済み

分野別リーダー…定められた研修(キャリアアップ研修)のうち、自分の分野1つ以上を履修

およそ3年の現場経験(複数園でも可能)

【分野】乳児保育、幼児教育、障がい児保育、食育・アレルギー

保健衛生・安全対策・保護者支援・子育て支援

以上です。これは今まで培ってきたスキルや知識が目に見える形で評価され、それに応じて役職が与えられるというものです。更に、役職に応じて手当てが支給されることになっており、副主任・専門リーダーだと月額4万円、分野別リーダーでも月額5千円が支給されます。筆者も副主任の際には実際に月額4万円の支給を受けていました。

保育士の専門性の向上を図る事に加え、賃金の水準を底上げする目的で施行されているのでスキルアップと同時に給与も上がっていくという素晴らしい内容です!

■手当ての支給は園による!?

実は、保育士の人数によって支給される金額は決まっており、国から園に支給される仕組みになっています。ですので、園が役職を与えなければその支給額は保育園が受け取る事になってしまいます。残念ながら保育士に還元せずに、役職が上の人たちで山分けしていたブラック保育園もあるようです。とはいえ、私の周りの保育園では100%保育士に還元されています。

保育士全体の数のうち、役職に就ける保育士の数が決まっているので、保育士の数が多い園ではキャリアが同じでも、役職がもらえたりもらえなかったりします。ここは本当に改善してほしいところですよね。同期や同年齢で大きな格差が出来るのは非常にモチベーションを下げてしまいますからね。

■まとめ

  • ○現在の保育士の役職は園長・主任・副主任・専門リーダー・分野別リーダー に分けられる
  • ○規定の条件を満たせば役職が与えられる
  • ○保育士の数が多い園では同じキャリアでも役職がもらえない事もある
  • ○処遇改善等加算Ⅱは、保育士のスキルと給与の底上げをしてくれる