クラスに障がい児がいる場合の向き合い方

2021.03.16
お役立ち情報
クラスに障がい児がいる場合の向き合い方

自閉症・ADHD・多動症・アスペルガーなど、障害といっても種類や症状はばらばらです。受け持つクラスに障害を持った子がいても適切に対応できるように、理解を深めておきましょう。

 

近年、発達障がいと言われるものが取り上げられ、それによって親子を取り巻く環境が変わってきています。小学校にあがると30名に1~2名はいると言われる発達障がい。では保育園ではどのような向き合い方をしているのでしょうか?今回は発達障がい児への向き合い方についてお伝えしていきます。

 

■発達障がいとは?

ひと昔前であれば『しつけがなってない』『いう事を聞かない』『変わった子』などと言われることもあったようです。しかし、近年それは「発達障がい」と言われるものが原因であることが分かっています。決してしつけなどという問題ではなく、脳障害の一部であると言われています。自閉症・ADHD・多動症・アスペルガーなど様々ありますが同じ病名でもその症状は人によって異なってきます。

 

■保護者と向き合う

多くの場合、発達障がいに気付くのは保育園や幼稚園の先生です。集団生活の場に身を置いて初めて違いに気付くからです。しかし、幼児教育者は医者ではないので、当然、診断予想を伝えたり、むやみに受診を勧める事はできません。

 

  • 子どもの発達について心配しているケース

「うちの子なんか変わってる」という疑念や心配をもっていても中々相談しづらいものです。「うちの子を障がい者にしたくない」「大きくなればなんとかなる」と目の前の子どもの姿から目をそらしてしまう事もありますし、単純に相談する勇気が出ないという方もいらっしゃいます。どちらにせよ、こちらから声を掛けていく事で保護者は初めて思いを言葉に出来ます。その際に「お宅のお子さんは変わってます」というような内容で話してしまうと、信頼関係を築くことができません。子どもの姿を肯定的に捉えながら、少しだけ困っているので、おうちでの様子を教えていただけませんか?と声を掛けると保護者さんはしっかりとお話ししてくれます。

 

  • 全く知らないケース

発達障がいの存在を知らない方もいらっしゃいます。その方にも話の入り口としては一緒ですが、相談を重ねていく中でタイミングを見て発達障がいの存在をふわっと伝えます。「障がい」と聞くだけで衝撃を受ける保護者さんもいらっしゃいますので、細心の注意を払ってお伝えしましょう。

 

■子どもの対応

その症状が重複していたり、重度だった場合は加配の保育士を配置することが多くあります。しかし、慢性的な保育士不足に陥っている昨今、そこに人員を確保する事が難しい園もたくさんあります。そういった場合は幼児であれば一人でクラスの運営をしていかなければなりません。私の経験をお伝えします。

 

  • その子の特性を理解する

障がいとして見るのではなく、それを理解したうえでどのような事に苦手意識があり、得意なことは何なのか。など細かな部分まで観察します。例えば、環境の変化が苦手で、パニックに陥りやすい場合は視覚的支援が有効です。絵や文字などで一日の流れや活動予定を予め知らせていきます。

音に敏感な場合は、無理に一緒の空間につなぎとめる事をせずに、離れた場所や違う部屋で心を落ち着かせたりします。強制的な活動や制限はその子を苦しめるだけなので出来るだけ控えます。(医師からの助言があった場合はそれに従います)

 

  • 友だちの存在は大きい

保育士が声を掛けたり関わっても難しい時には、子どもたちに声を掛けてもらう事も時には有効です。大人の声よりも子ども同士の声の方が理解できる事があるのです。もちろん、嫌がっている子に無理やりという事は事態を悪化させるだけなので、表情や動きをよく見ておかないといけません。

 

まとめ

発達障がいと一口に言っても、多種多様な特性があります。関わる大人が障がいではなく、その子の特性として理解しながらその子に出来る事や、出来るだけスムーズな方法を模索していく事が大切です。担任一人で抱え込むことなく、保護者と連携し、園全体で共通理解を図ってチームでその子に関わっていく事が保育士も子どもも負担が少ないのではないかと思います。