潜在保育士の再就職支援
- 2021.03.31
- 転職マニュアル
厚生労働省の調査によると、2015年10月の保育士登録者数は全部で約119万人。 しかし、実際の勤務者数は約43万人であり、資格を持っているものの、 社会福祉施設等で勤務していない潜在保育士は約76万人いることがわかりました。 これまで労働環境や待遇面、また結婚・出産といった人生のイベントに対応することが難しかった保育の仕事ですが、ニュースでも度々取り上げられるように、待機児童の解消のため、保育士の待遇は少しづつ改善されてきています。
子育てがひと段落した30~40代で、あらためて保育士に復帰したり、新しく保育士を目指すという選択肢も年々増加してきています。今回はそんな時に役に立つ、保育士の復帰をサポートする制度をご紹介します!
支援を行うのは各地方自治体
再就職支援を行うのは、国ではなく各地方自治体です。
国が行うことは、基本的に指導と予算の確保であり、実際に再就職支援の運営をするのは各地方自治体という形になります。そのため自治体によって再就職支援の方法も変わってきますが、
今回は東京を例にご紹介します。
【再就職支援】東京都の場合
東京都は復職のサポートや経済的支援を行う「おかえり保育士」という制度を導入しています。
大きく分けると「就職を斡旋する支援」、「金銭的な支援」、「復職後のサポート」になります。
就職を斡旋する支援
■保育所への就職支援
保育士資格を持ち、保育の現場でも働いたことのある保育人材コーディネーターが、希望の勤務条件に近い職場を探したり、就職活動に関してのアドバイスをしてくれます。
■就職支援研修、就職相談会
現役の園長や保育士から現場の生の声を聞いたり、就職活動のポイントをまとめた講義を聞くことができます。またその他にも保育所の就職相談会を行ったりもします。
ブランクがあって今の保育現場についていけるか不安な方や、効率の良い就職活動をしたいという方に特におすすめです。
■就職支援セミナー
主に復職のための知識や技術の回復支援を行っています。講義や現場での実習を通して、ブランクの長い方だけでなく、資格は持っているが保育所で働いたことがないという方に向けても支援しています。
リハビリをして、万全の状態で復帰したいという方におすすめです。
■保育人材コーディネーターによる相談支援
保育士資格を持ち、保育の現場でも働いたことのある保育人材コーディネーターが、保育の仕事に関するさまざまな相談を受けてくれます。
こちらは保育士資格がなくても相談をできるので、気軽にできるのがポイントです。
もし保育に少しでも興味が湧いたら、相談してみることをおすすめします。
金銭的な支援
■再就職支援資金
都内の保育所などに再就職が決定した方を対象に、就職に伴う引越し費用、通勤用自転車や仕事で使う被服の購入費といった、就職に向けた準備に必要な資金を無利子で貸付します。
これにより、家計の負担を抑えつつ、安心して就職活動を行うことができます。
貸付上限額は40万円です。
■未就学児を持つ保育士への復帰支援資金
小学校入学前の子供を保育所などに預けて都内保育所に就職した方や、産後休暇・育児休業から復職する方を対象に、保育料の一部を無利子で貸付する制度です。
就職活動でかかる費用や、家計の負担の圧迫を軽減することができます。
貸付上限額は保育料の半額、かつ月額27,000円以内となります。
■未就学児を持つ保育士の子どもの預かり支援資金
小学校入学前の子供を保育所などに預けて都内の保育所に勤務する方で、朝番や夜番など保育所の預かり時間外のシフトに入る方を対象に、ファミリーサポートセンター事業やベビーシッターなどを利用する際の利用料金の一部を無利子で貸付します。
柔軟な勤務時間に対応するのが難しい方や子供が心配な方におすすめの制度です。
貸付上限額は利用料金の半額で年額123,000円が上限となります。
復職後のサポート
■保育士への住宅提供
保育士が入居するための住宅の借り上げを行う保育所に対して、最大月額82,000円を基準として家賃の補助を行います。
この制度により家賃の負担を軽減しつつ、転居が必要になった場合でも安心して引っ越しをすることができます。住む場所を選べないというデメリットもありますが、初期費用や更新料もかからないので、負担はかなり少ないといえます。
■キャリアアップ補助
キャリアアップや、処遇の改善を行っている保育所を対象に、都が独自の補助金を出すことで、職員の給与アップを支援します。
保育士として専門性を磨きつつ、成長と共に給与も上がるような仕組みで、モチベーションもアップします。
■キャリアアップ研修
保育現場におけるリーダー的な存在を育成するため、乳児保育や障害児保育など、専門的な技術やマネジメント技術を学ぶ研修を実施しています。
都内の認可保育所に勤めている対象者の方は無償で受けることができます。
より専門性に磨きをかけることは、キャリアアップだけでなく、転職活動の際にも有利な条件となるでしょう。
■保育人材育成研修
認証保育所において中核的な役割りを果たす人のために行われる「認証保育所中堅保育士研修」、認可外保育施設を対象に資質の向上を目指す「認可外保育施設職員テーマ別研修」
病児・病後児保育施設で勤務されている方を対象に資質の向上を目的とする「病児・病後児保育研修」など。
このように今後のキャリアや成長をふまえて、さまざまな専門性向上の研修を実施しています。
まとめ
今回は東京都の場合を例にご紹介しました。各地方自治体によっても支援のスタイルは違いますが、以前に比べると保育士への再就職支援も格段に向上したといえるでしょう。
ぜひそれぞれの地域でチェックしてみてください。