モンテッソーリ教育とは?

2021.04.03
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モンテッソーリ教育とは?

モンテッソーリ教育を取り入れる保育施設も増えてきました。右脳教育や詰込み教育とは何が違うのか?奥深いモンテッソーリ教育を紐解いていきましょう。

最近ちまたで話題のモンテッソーリ教育。

棋士の藤井聡太二冠や、アマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏、またはオバマ前アメリカ大統領など、数々の著名人が小さい頃にモンテッソーリ教育を受けていたことで注目が集まっています。

今回はモンテッソーリ教育についてご紹介します。

 

モンテッソーリ教育とは

モンテッソーリ教育は、ローマ大学初の女性医師であるマリア・モンテッソーリが、1907年に考案した100年以上の歴史をもつ教育法です。

精神病院で働いていたマリア・モンテッソーリは、知的障害の児童に感覚教育法を施し、知的水準を上げる効果があることを発見しました。

これがきっかけとなり、1907年に設立した保育施設「子どもの家」において、健常児にも同様の教育法が適用されます。

ここでの実践で生まれたものが「モンテッソーリ教育」です。

 

モンテッソーリ教育で重要視するもの

自己教育力

モンテッソーリ教育は、自立し、有能で、責任感と思いやりがあり、生涯学び続ける姿勢を持った人間を育てることを目的としています。

そこで必要になるのが、子ども自らが自分を育てる能力。
いわゆる「自己教育力」の向上です。

たとえば赤ちゃんは、誰から教わらずとも自分で歩く練習や話す練習をはじめますよね。
自己教育力は、もともと子どもに備わっている能力なのです。

教育者は、子どもの「やりたい自由」を制限することなく、自己教育力を最大限発揮させる環境作りや教具(おもちゃ)の用意をすることが求められます。

 

敏感期

マリア・モンテッソーリは、月齢や年齢ごとに子どもの興味の対象が次々と移り変わる点に着目しました。

さまざまな能力の獲得には、最適な時期がある。
これをモンテッソーリは子どもの「敏感期」と名付けました。

子どもの自由を担保しつつ、この敏感期を育むことがモンテッソーリ教育の大きな特徴となっています。

 

敏感期には、次のようなものがあります。

  • 動作や動きに関する「運動の敏感期」
  • 五感を司る「感覚の敏感期」
  • 物の配置や物事のルールに関する「秩序の敏感期」
  • 話し言葉や文字に関する「言語の敏感期」
  • 数字に対してこだわりを見せる「数に対する敏感期」
  • 地理、歴史、社会、芸術などの文化に関する「文化の敏感期」

敏感期を育むために、モンテッソーリ教育では集団で同じことをするのではなく、子どもの自発的な活動が尊重されます。
さらに知的協調心を促すため、異なる年齢の子どもと混じって生活するのも特徴の1つです。

教育者は子どもが自ら成長しようとするのをサポートするための、「援助者」として接することが求められます。

 

教育の5分野

モンテッソーリ教育は敏感期を参考に、教育方法を5つの分野に体系化しています。

 

日常生活の練習

 

運動の敏感期を利用し、「運動の完成」を目的とします。

具体的には、歩く、はさみで切る、コップに水を注ぐ、ボタンをかける、掃除をするなど。
自分の体を意志通りにコントロールする能力を身につけることが、自立へ向けた大きな一歩になります。

 

感覚教育

 

「感覚の敏感期」を利用して、感覚器官を意識して使っていくのが感覚教育です。
感覚の発達は知的活動の基礎となるため、モンテッソーリ教育の中でも特に重要視されています。

感覚器官が洗練されれば、外からさまざまな感覚を受信できるようになり、知性や情緒が発達します。

 

言語教育

 

「言語の敏感期」を利用して自分の周りで話されている言語を獲得します。
話す・書く・読むだけでなく、文法や文章構成も早い時期から学べるのが特徴です。

日常生活の練習や感覚教育を行う中で、自然と言語に触れるようにしていくので、文字に興味を持った時点で、文字を書いたり読めるようになっている場合もあります。

 

算数教育

 

「数に対する敏感期」を利用して、数字の概念を獲得します。

算数教具はただ単に数を唱えるものではなく、数量が具体物で表され、手で扱えるようになっているのが特徴です。

感覚教育で使われる教具の延長線上であるため、スムーズに算数教育へ移行することができます。

 

文化教育

 

文化とは、動植物、地理、地学、歴史、道徳、宗教、音楽、体育、美術などのことです。
「ことば」と「数」以外の子どもの興味を対象とした幅広い分野が含まれます。
世界地図パズルや天体模型、食べ物や動物カードなどがわかりやすい例でしょう。

多岐にわたった能力を育み、他の4分野が統合された総合学習と考えることができます。