園児の体調不良への対処法

2021.03.01
お役立ち情報
園児の体調不良への対処法

看護師が常駐している保育園も多いですが、やはり常に子ども達の近くにいるのは保育士さん。園児の突然の体調不良にも、冷静に対応したいですね。

保育士は園児の急な体調不良にも、冷静な対応が求められます。

園では保護者が体調不良と気付かないまま預けてしまう、というケースもよくあるので、悪化をさせないためにも保育士が症状の把握や対処をしっかりしておきましょう。

発熱

発熱は園児にとって最も多い症状といえるでしょう。

熱に伴う症状により、さまざまな病気の可能性が考えられるため、注意が必要です。

発疹を伴う場合は風疹、麻疹、水疱瘡、ヘルペス性口内炎、ヘルパンギーナ、溶連菌感染症、手足口病、川崎病等の可能性が考えられます。
また熱が下がった後に出る発疹の場合は突発性発疹の可能性が高く、乳幼児の多くが1度は経験する発熱です。
痛みや痒みはほとんどなく、順調に回復することがほとんどですので、慌てずに対処しましょう。

高熱に加えて吐き気や嘔吐、頭痛などを伴う場合は、インフルエンザや、髄膜炎などの病気が考えられるので、小児科で見てもらうことをおすすめします。
発熱とともにけいれんを起こした場合、熱性けいれんの可能性がありますが、こちらは後述します。

 

発熱の対処としては、脱水を防ぐためのこまめな水分補給、汗による体温低下を防ぐための着替えが大切です。
また高熱でだるくなっている場合は、脇の下、手首足首、足の付け根などの幹部を冷やすことが有効です。

子供はもともと平熱も高く、熱があっても元気なケースもあります。
ふだんのように機嫌よく、ご飯をしっかり食べて眠っているようでしたら様子を見るだけでもよいでしょう。

下痢や嘔吐

発熱と同じく、子供はよくお腹を壊します。

下痢の場合、ノロやロタなどのウィルス感染、細菌の感染、アレルギー、もともと体質的にお腹の弱い反復性軽症下痢など、様々な原因が考えられます。
なかには食べすぎといった場合もあるかもしれません。

ほとんどの場合は自然に治りますが、水状態の下痢が何度も続く、下痢が生臭い、高熱を伴う、ぐったりしていて元気がない、意識障害やけいれんがあるなどの場合は病院に行く必要があります。

対処としては、嘔吐物がのどに詰まらない様に横向きで寝かせて、吐き気を感じさせないくらいの最低限で水分補給を行います。スプーンなどで行うのが良いでしょう。

食事はおかゆなどの胃腸に負担のかからない食事がおすすめです。

また嘔吐物で気をつけなければならないのが「処理」です。
感染予防のために十分な注意が必要になります。
必ず手袋をして、塩素系の消毒液と雑巾でしっかりと拭き取りましょう。

また使ったものは、まとめて密封処理をすることを忘れずに。
他の園児たちが触れることのないよう、迅速かつ適切に処理をする必要があります。

咳や鼻水

もともと咳や鼻水は、体への異物侵入を防ぐために出る症状です。
咳や鼻水は風邪へとつながるケースが多く、注意して体調管理や経過を観察していく必要があります。
咳は乾いたものから、痰が絡んだものへ変わり、鼻水はサラサラしたものから、粘度の高いものへと変わっていく傾向にあります。

咳の対処法は、こまめな水分補給と、加湿によって乾燥を防ぐことです。
特に冬は空気も乾燥しがちなので、加湿器を使って室内の湿度を保つことが大切です。
咳がひどくなる場合は、保護者に病院で咳止めをもらうように伝えましょう。

鼻水で大切なことはこまめに拭き取ることです。
放置してしまうと悪化して鼻が詰まってしまったり、中耳炎の原因にもなります。
また鼻水がのどに落ちていくと、咳にもつながるので、しっかりと取ることが大切です。

自分で鼻をかむことがまだできないのでやさしくふき取り、それでも鼻づまりがひどい場合は、保護者と協力して鼻水吸引機や、小児科や耳鼻科で吸い出してもらいます。

 

熱性けいれん

知らないと1番慌ててしまうのが「熱性けいれん」です。

熱性けいれんとは、38度以上の高熱に伴って、24時間以内に起こる発作性疾患です。
6歳未満の10人に1人ぐらいに起こるといわれ、1〜2歳が発症のピークでと言われています。

突然白目をむいて、両手両足をつっぱり、ビクビク震え始め、呼びかけても返事がない状態になるので、最初に見た際は驚くことも多いでしょう。

熱性けいれんには、全身の震えが15分ほど続く「単純型熱性けいれん」と、震えが15分以上続く、片側だけ症状が出る、あるいは24時間以内に発作が2回以上起こる「複雑型熱性けいれん」があります。

対処法として、まずは落ち着いて観察をします。

熱性けいれんの70〜80%は、単純型熱性けいれんで、2〜3分で収まるケースが多いです。
横に寝かせて、首周りをゆるくし、呼吸が楽にし、気道に吐いたものなどが入らないようにしましょう。
大きくゆすったりなどはせず、もとに戻るまで必ず1人はそばにいることが大切です。

それから体温を測定し、発作の時間を確認し、左右で差がないかなどの細かな状態を観察記録します。

症状を見て複雑型の可能性がある場合は、検査を受けることを推奨します。
保育士が複数いる時は、役割分担を決めると良いでしょう。

また熱が2〜3日続いてからけいれんが起こった場合には、髄膜炎や脳炎の恐れがあるのでこちらも注意しましょう。