【イヤイヤ期】保育士が知っておきたいの特徴と対策

2021.04.04
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【イヤイヤ期】保育士が知っておきたいの特徴と対策

「〇〇したい!」という自立心の表れと、まだ未熟な体との間で起こるフラストレーションが【魔のイヤイヤ期】と言われる時期を引き起こします。これを単なるわがままと捉えず、子ども達の成長にとって必要不可欠な時期として、しっかり受け止めていく必要があります。

大きな変化が起こる2歳児の発育状況

魔の2歳児とも言われるこの時期は、体の動かし方や言葉の使い方もみるみる成長して著しい変化を見せます。

  • ・記憶力や思考力が上がりいつもの道や、繰り返しやっていることを覚えるようになる。
  • ・歩く、走る、またぐ、下る、ジャンプ、蹴るなど運動能力が向上して、体を動かすことが楽しくなる。
  • ・乳歯が生え揃ってくるのと同時に、好き嫌いが出てくる。
  • ・言葉の爆発期と呼ばれ、2語文や3語文が使えるようになる。また好奇心が出てくる時期でもあり「これなに?」「どうして?」などの言葉が出てくるようになる。体の名前や数字、時間の概念がわかるようになる。
  • ・大人のマネをして社会性が付きはじめる。

イヤイヤが起こる原因

この時期の園児はできることが増えて自発性と自立心が強くなり、何でも自分で試してみたくなります。

しかし、①体の機能が未熟でやりたいことがうまくできない。②言葉の機能が未熟でうまく自分の伝えたい気持ちを伝えることができない、という自分の思い通りにいかない苛立ちで癇癪を起こしてしまうのがイヤイヤの原因です。

一見すると単なるワガママに見えますが、イヤイヤは子どもたちの自我や自立心が発達している証拠でもあります。

それゆえ保育士は子どもたちの自立心を損ねてしまうことなく、うまくハンドルを握っていく必要があります。

やってはいけないこと

イヤイヤ期にやってはいけないことは、一方的に叱ったり、脅すような態度を取ったりすることです。

子どもの時に激しく叱ると、「右前頭前野内側部」の脳容量が減少したり、側頭部の弓状束に変化をきたしたり、発達に悪影響がでる可能性があります。こうなると感情のコントロールが不安定になり、聞くことや話すことに支障が出ます。

また同時に子どもを甘やかして、言いなりにならないことも大切です。

甘やかしは、保護者や保育士の意思が主体となる考え方です。その時は良いかもしれませんが甘やかしが過ぎると今後の人間関係において問題が出て、苦手意識が強くなる可能性があります。大切なことは甘やかすのではなく、適切なタイミングで「甘えを許す」ことです。なんでも許すのではなく、本当に困った時に助けを得られる心地よさを感じてもらうことが重要です。

対処法

最も大事なポイントは、要求を理解し受け止めることです。特にちゃんと言語化して伝えることが効果的です。

「〇〇したかったんだね」「自分でうまくやりたかったよね」と気持ちを代弁して一旦受け止めてあげることで園児の気持ちが少し落ち着きます。あくまでもやりたかった気持ちには共感して寄り添ってあげましょう。

その上で「今は〇〇だから、またにしようね」だったり「△△とか◆◆だったらできるけどどっちがいい?」などの代替案を提案してみましょう。他に気が向くとそれだけで気分が変わることがあります。もしそれでも癇癪が止まらない時は、場所を変えて外の空気で落ち着かせたり、抱きしめてあげたりすることも効果的です。

例外として、こちらの関心を引くためにわざとやるイヤイヤには毅然とした対応が必要です。過度に反応をしてしまうと、園児が「関心を惹くことができた」と誤学習して同じことを繰り返す恐れがあります。こういった時は反応しないことや、淡々と指摘することも大切なことです。

このようにイヤイヤ期の園児には付かず離れずの距離感を適切に保つことが重要になります。

良い行動を見つけて褒めよう

保育士に関わらず、大人はガマンができない子どもを叱りがちです。でも実は本当に効果的なのは、ガマンできたタイミングを見逃さずにキチンと褒めることです。

良い行動を見つけて適切に褒めると脳神経の「報酬系」という部分を刺激することができます。褒めて満たされることで園児たちは心地よい感覚を理解し、自然とガマンすることを覚えていきます。

イヤイヤ期は子どもの成長に欠かせない大切な時期です。保育士としてキチンと対応するのは当然として、むしろ不安な保護者をサポートできるくらいの余裕を持たなければなりません。初めての子育てをする保護者は特に精神的にも大変な時期です。ぜひ特徴を捉えて心にゆとりをもたせた状態で保育を行ってください。